LAにいるからには、ということで出場したLAマラソン(3月6日)では、コースのあちこちで地元高校生と思われるチアガール(これは和製英語)たちが、くじけそうな気持ちを元気づけてくれました。髪はポニーテール、手にはポンポン。そろいのコスチュームが少し誇らしげで…。女の子はやっぱりこういう華やかさが好きなのです。エンターテインメント・スポーツ大国のアメリカは、チアリーディングの本場でもあるのでしょう。NFL(アメリカンフットボール)、NBA(バスケットボール)の各チーム専属チアの卵が、あの中にいたのかもしれません。でも、「チアは、ただスポーツシーンを盛り上げるためだけのものじゃないのよ」と、チアリーディング・ジムを主宰するジャッキーは言います。2月末に彼女に連れられてコンペティションを見てきましたが、実際、チアはそれ自体が立派なスポーツでした。
2月26日、パサデナで行われたその競技会“The Glam JAM 2005”には、高校、大学も含めた14団体から50チームが出場。大きく分けてダンス、チアリーディングと、アクロバティックな技を競うスタントの3種類、それぞれにビギナー(初心者)、インターメディエイト(中間)、アドバンスド(高等)といったレベルや人数による区分もあって、ぜんぶで27の部門に分かれます。ジャッキーのジム“California Cheer Force Elite”には4歳から18歳まで総勢80名のメンバーがいて、今回のコンペには5チームが参加。ビギナー・スモールミニ(20人以下)チア部門では愛らしい5,6歳の少女たちがチームワークを守ろうと懸命で、ジュニア・グループ・スタント部門では息のあった技で拍手喝采を浴び、去年カリフォルニア・チャンピオンになった13歳から18歳のグループは、さすがに成熟したパフォーマンスを披露していました。
ところで、カリフォルニアにはこういうチアリーディングのジムが約150もあるそう。全米では他にフロリダを筆頭に、テキサス、オクラホマ、ケンタッキー、ニュージャージーあたりでとくに盛んだといいます。ジャッキーのジムでは練習は週3回、2時間ずつ。少女たちに話を聞いてみると、トレーニングは甘くないことがうかがえます。13歳でキャリア6年のアニータは「やめたいと思ったことはないけど、練習はハードだと思う時と楽しいと思う時と、両方かな…」。高校時代チアリーダー部に所属していたという私のクラスメイトは、「2日に一度は5マイル(8キロ)のランニングがあった! 走るのは大ッ嫌いだけど、演技のためには必要だと思う」と話してくれました。意外に、「将来はNBAかNFLで踊りたい」という少女はほとんどいなくて、「友達がいっぱいできて楽しい」とか、「うまく演技できたときがうれしい」というのが、彼女たちのモチベーションでした。コンペを見ればわかるのですが、チアリーディングは、柔軟性、筋力、持久力に俊敏性、リズム感、バランス感覚、表現力と、ありとあらゆるカラダの要素が必要で、器械体操に近いものがあります。さらにはチームが全体として美しく見せるために、個々の協調性や責任感もひじょうに重要。娘たちを見守るお母さんたちは、「チアを始めてから、いろんな面が成長しました。演技を覚えなくちゃいけないからでしょうか…記憶力も良くなったんですよ」と、誇らしげでした。確かに、身体的にさまざまな能力が伸びることは言うまでもなく、精神面の強さ、パーソナリティの形成も、チアの大きな“効能”なのでしょう。
チアリーディングの魅力は、愛らしく美しく、やさしく強くたくましく…。
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