実は、秋学期から陸上部に入ろうかと、ひそかに計画中です。といっても、トライアル(入部テスト)をパスすればの話ですが…。他の運動部に所属していた日本人に聞いてみると、経験者なら間違いなし。その競技は未経験でも運動能力全般が高い人なら、問題なしとのこと。「あなたなら大丈夫」と太鼓判を押されました。しかし、中学から大学までは箸にも棒にもかからない陸上部員で、その後10ウン年、ぼちぼちマラソンに出場しているとはいえ老化が進んでいる身。お尻がぷりっと上がった若者たちの中にまじってできるものかどうか…。でも、日本人が皆無のクラブに飛び込んで、今日の練習メニューを英語で必死にたずねてみるだけでも、いい経験になりそうだし。ま、ダメもとで、トライアルに臨んでみます。っと、べつにおおこがましく私の無謀な計画についてお話しようというわけではありません。私のようなものでも「陸上部に入ってみようか」と思わせる理由について、今回はお話したいのです。
私が通っているエルカミノ・コミュニティ・カレッジは、LAの南西にあるトーランス市の公立短大で、高校卒業したての18歳はもちろん、主婦もビジネスマンも白髪のおじいさんも、それぞれに必要な知識・技術を得ようと勉強するところです。私はそこで体育(Physical
Education)を専攻していて、卒業するには体育概論や解剖学、救急処置といった講義の他に、8単位分のアクティビティ・クラス(体育実技)をとらなければなりません。今は実技としてボクシングとボディ・コンディショニングというクラスを受講中。それぞれ1単位です。そして実技のカテゴリーの中にはカレッジ競技レベルの野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、ゴルフ、サッカー、スイミング、テニス、バレーボール、ソフトボール、バドミントン、陸上競技、というクラスがあり、それがつまり、各種運動部を指します。ほかの授業と同じように1学期(半年)ごとに登録し、各2単位と数えられます。つまり陸上部に入れば2つのアクティビティ・クラスを取ったことと同じなのです。短大の学費は単位分だけ支払う仕組みなので、1単位179ドル(これは留学生料金、州民はたった26ドル!)×2単位分、陸上部に所属するのに358ドルが必要ということになりますが、卒業に必要な単位・費用の一部だと考えれば、むしろ合理的だと思われます。
それに! ソフトボール部に所属している山口芽生さんに聞いて知ったのですが、なんとこの短大では、共用の競技器具はもちろん、個人のユニフォームやシューズなど、部活動に必要な道具類はすべて支給されるのです! ソフトボール部は、バットもシューズもバッグも、ミズノ社製のものでそろえているそう。すばらしい! さらに、学校内にトレーナー・ルームがあり、ケガや痛みのケアをしてもらうために、練習着に身を包んだアスリートたちが訪れます。ここではプロのトレーナーの下でインターンの学生も活躍していて、実地での経験を積んでいます。こういった必需品の支給やケアは、アメリカの大学・短大ではあたりまえのシステムで、アメリカのスポーツ大国たる理由の一つといえそうです。 というわけで申し分のない環境の中で、各種運動部員たちはトレーニングに励むことができるのですが、もしも1学期12単位をとれなかったり、評定平均2.0(全科目A評定なら4.0)を下回ったりすると、部に所属することができなくなる、という仕組みもあります。だから、というわけでもないのでしょうが、フットボール部のごっつい大男たちが一番前の席にちょこんと座って授業を受けていたりして、それはなかなかほほえましい風景です。 私も9月からの秋学期には、彼らの仲間入りをしているでしょうか。
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