昨年10月にロングビーチマラソンに参加して以来、郵便で、E-mailで、さまざまなマラソン情報が私の手元に届きます。参加賞は…絶景のコースが…特典は…と、色とりどりの言葉でアピールしてくるものだから、どれもこれも魅力的に見えて、選ぶのがタイヘン! とまあ、ほとんどがそういうイベント案内なのですが、その中に「トレーニングに参加しませんか」という類いのパンフレットがいくつかあって、興味をそそられました。日本と同じようにこちらにもランニング・チームはあまたありますが、そういう団体からのお誘いではありません。夏休みに入って時間ができたので、いろいろ調べてみると、それらは特定の病気の予防・治療研究と患者の救済を目的とする財団が提供するプログラムで、ランナーとしての目標達成と、人としての社会貢献を同時に実現できるシステム、ということがわかりました。
まずは、どの大会でもこのロゴが入った紫のシャツを着たランナーを見かける“TEAM IN TRAINING”。これは白血病&リンパ腫協会(The Leukemia & Lymphoma Society)が提供する持久系スポーツ(ランニング、自転車、トライアスロン)のトレーニング・プログラムです。マラソンだと、9月のマウイ・マラソン($4200以上)、10月のロングビーチ・マラソン($2100以上)、ナイキ・ウイメンズマラソン($2600以上)…と参加大会と最低費用が設定されています。たとえば、私がロングビーチに向けたプログラムへの参加を申し込んだとしましょう。すると、団体は私たち参加者に、プロフェッショナルによるトレーニング指導を提供してくれます。走りの技術はもとより補強トレーニング、食事など、目標の大会で完走や自己記録更新を達成するために必要な知識を提供してくれる、と言ったほうがいいかもしれません。
そして私が団体側に提供するものは、というと、$2100以上の寄付金なわけです。えっ!? マラソンひとつ走るのに20万円以上もかかるの??!と思いますよね。ここにタネもシカケもありました。
まず、この金額の中には5、6ヶ月にわたる一連のトレーニング費、ユニフォーム代、大会エントリー費、宿泊費・渡航費、前夜祭参加費などが含まれます。でもこれら全部をあわせても、$2100の25パーセントに過ぎません。あとの75パーセントは、ドネイション(寄付)。白血病とリンパ腫の研究資金、患者の援助資金となるのです。
それにしたって…貧乏学生の私に$2100の寄付はできません…。じゃあ、どうするか。100通以上のお手紙を出して、寄付を募るのです。自己紹介とこのプログラムの趣旨とを説明し、寄付を求めます。知り合いの経験者に聞いてみると、ほぼ参加者全員がその設定額以上の寄付金を集められる、とのこと。“社会貢献”がことさら尊重されるアメリカならでは、という気もしますが…。病気で苦しむ人たちのための基金を集めるのに一役買って、自分もプロのランニング指導を受けられて大会を楽しむこともできるのですから、文句なしです。
もう一つ、The
National AIDS Marathonというプログラムもありまして、こちらは文字通りエイズ・HIV患者の救済・病気撲滅を目指す財団のもの。今、私が手にしているのは、来年3月5日のL.A.マラソンに向けたトレーニングへのお誘いです。申し込みの期限は9月2日。9月10日からトレーニングが始まって、レース当日を目指します。もちろんその間に寄付金を集めなければなりませんが、時間はたっぷりあります。
今年のL.A.マラソンで自己最低記録でゴールした瞬間に、来年はリベンジをと誓いました。そのために8月末からの新学期は陸上部に入ろうと思っているのですが、入部テストではじかれる可能性が大。そうしたら、このAIDS
Marathonに参加します。学校の授業や部活にはない、新しい発見があるに違いありません。
|